□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
青少年のための世界を変える本
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□
第3回 10年1月15日
「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ 」
著者:齊藤 正明
マイコミ新書 本体価格:780円。
マグロ船に乗れば、借金の返済が出来る。というような話を
誰もがどこかで聞いたことがあると思う。
この本は、そのマグロ船に、
実際に40日以上乗ったフツウのサラリーマンの話。
会社でマグロの冷蔵技術の開発をしていた理系サラリーマンがある日、
上司の命令でマグロ船に乗ることになってしまった。
著者は船に乗ってから毎日、船酔いで吐いてばっかり、
漁師には怒られてばっかりの
ダメ男ぶりを発揮するが、
漁師たちを尊敬し、素直にわからないことを聞いていくことで、
一見最悪の日々が、最高の人生の学びへと変わっていく。
この出てくる漁師さんたちが、大人として本当に素敵。
例えば、
「今日はいい天気だな」
と漁師さんに話しかけられた著者が、
「はあ、そうですね」みたいな返事をするシーンがある。
すると、ここでいきなりバカヤロウ、みたいに怒られる。
そんな返事だと会話が続かないだろ。
連想ゲームみたいに、会話を広げてみるんだ。
会話が出来ない奴は、そのうち何も教えてもらえなくなって、
人生で大きな損をするんだぞ。
そんな感じのことを言われるのだ。
読んでいて、まさにこれは真実だなと感心した。
漁師さん達は例え話がうまく、
聞く人の心にちゃんと届くように、
真剣に話してくれているというのが、
著者との会話の中から伝わってくる。
非常に優れた教師であり、
著者もダメな海の男初心者に見えて、
優れた生徒であるということが
読み進めていくなかでわかる。
たとえ、マグロ漁船でも人は
人生のターニングポイントとなる学びを得ることもある。
体験を本に書いて、この著者のように本が売れたり、
新しい人生の目標が出来て、仕事が変わるかもしれない。
不本意な状況や、そんなはずじゃなかった場合でも、
真剣に対応する、真剣に生きることの大切さを
改めて感じた。
この本はまた、体験することの大切さも教えてくれる。
本を読んでの疑似体験だが、この本を読むとあなたも、
学校や会社を辞めて、マグロ船に乗ったりするのも
人生だなと、一瞬思えると思う。
この感覚を得られるだけでも、
あなたの世界を見る視野はすでに少し広がった、
と言えるだろう。
人生は、そんなことでまさかそんなに人生が大きく変わるとは
本人も誰も予測できない、
そんなたった一歩の体験で、未来が拓けることがある。
そんな希望が、湧いてくる本だと思う。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
第2回 09年9月20日
「22歳の大学生が1億円稼いだ ありえないマーケティング」
著者:原田翔太
インデックス・コミュニケーションズ 本体価格:1500円。
2008年に出た本だが、
著者は1984年生まれの僕と同い年。
24歳でこの本を書いているが、
19歳で起業し、22歳で1億円を売り上げ、
現在(08年)は3つの会社を経営し40人以上雇い、
同時に現役の早稲田大学の学生でもあるという。
よくある、
一人で部屋にこもって株でデイトレードして、儲けました。
というのではなく、
キチンと会社をつくり、ビジネスの戦場を戦い抜いてきた、
同い年の成功者という点が凄いと思った。
ビジネス書のベストセラー作家が
帯で推薦文を書いている点も、期待を高められた。
内容は、過去の著者と同じような
全くの無名で力もお金もない人が、
ゼロからビジネスを開始し、
加速していく方法、理論、考え方が満載の、
完全に純粋なビジネス書である。
得意だったサイト制作から始まり、
モバイルサイトの運営、
モバイルでの広告代理店ビジネス、
モバイルビジネスのコンサルタント、
セールスレターの執筆代行、
WEBマーケティングコンサルタント、
などという風に、ビジネスを広く深くしてきた実体験は、
聞いているだけで、もの凄く面白い。
実体験があるから、
まずは「大きな市場のニッチ(隙間)を制すること」、
または「市場創出」が
成功への戦略上、非情に重要だ
という著者の力説が、
もの凄く腑に落ちる。
何より、やはりこの本に書いてあることは、全部
「著者が19歳から22歳の間にやったこと。考えたこと」
というのが、物凄く刺激になる。
19歳から22歳。
こんなことを同じ日本人でやったヤツがいるんだ、と。
ビジネス書として書かれているので、
少し難しい言葉も使われているが、
この本は中学生でも読んで理解出来ないことはないと思う。
例えば15歳でも、この本を読めば、
俺も、アタシも、何かビジネスを始められるかも知れない。
がんばれば、成功できるかもしれない。
なんて思えて、
教科書に載ってる芥川龍之介や太宰治、夏目漱石なんかを読むより、
よっぽど、明るい気持ちになれて、
未来に希望が持てるかもしれない。
そうだ、今思ったけど、
僕は中学生や高校生に、
「夏目漱石も、山田詠美もよしもとばななも、村上龍もいいが、
ビジネス書を読むこともオススメしたい」
と言いたい。
小説やエッセイを読む中学生や、
ちょっと背伸びをして哲学書や社会書を読んだり、
歴史にハマる10代は多いと思う。
角川や新潮の夏の文庫100選もそういうラインナップだ。
僕も10代のときはそういう本を読んでいた。詩なんかも読んでいた。
だが、自分の経験上の推測だが、
ビジネス書を読む10代は、少ないんじゃないかと思う。
ビジネス書は、
教科書にも載ってない。
学校の図書館にも、ほとんど置いていない。
義務教育でも習わない。
だけど、
「“世の中という戦場”で戦っている真っ最中の大人達が
読んで役に立つこと」
が書いてある。
へ〜、大人って仕事しながらこういうことに悩んだり、
工夫をしたりしてるんだ〜って、ことがわかる。
それって、働いたこともない、
けど将来働いて稼がなくちゃならない
10代にとって、
ある意味、他のジャンルの本より
もの凄く「リアル」で、おもしろいと思う。
ぶっちゃけ、ほとんどのビジネス書は、
夏目漱石よりよっぽど読みやすいし、
学校の教科書より簡単に理解できるように書いてある。
なぜなら、サラリーマンが通勤電車の中で1時間〜2時間で
ストレスなくサクッと読めるように
最初から設計して作られているからだ。
そうしないと本が売れないのだ。
「営業」についての本でもいい。
「組織のマネジメント」についての本でもいい。
「ビジネスモデルの構築」でも
「企画の書き方」でも
「究極のサービス」についてでも、
「起業ノウハウ」、
「プレゼンテーションのコツ」、
「会議の仕方」、
「職場の人間関係がうまく行く方法」、
「松下幸之助」、
この本のような「マーケティング」
でもいい。
自分には関係ないと思うかもしれないが、
学校で習う、
国語、数学、理科、社会、英語より、
社会で役立つような気がすると思うよ。
現代は、
今までの大企業が突然潰れて、
新しい会社がどんどん勢力を伸ばしたり、
既存の価値観がどんどん壊れて生れていく、
ある意味、乱世の戦国時代。
大昔は「剣術」や「兵法」を一生懸命、野望ある子供達は勉強した。
現在の子供達はどうだろう?
この資本主義ジャングルをサバイブする「武器」は何だろう?
サバイブするための情報源は、
親と学校の先生とテレビだけで十分だろうか?
「武器」がなくて、戦えるかい?
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
第1回 09年5月7日
「お金と正義 上」 「お金と正義 下」
著者:神田昌典
PHP文庫 本体価格:上下共に619円。
5月5日、一昨日読み終えた本ですが、
この本は、
カリスマ的経営コンサルタントが初めて書いた近未来小説で、
内容はぶっ飛んでいますが、非常にリアリティがあります。
僕は昔、村上龍の小説「希望の国のエクソダス」という、
不登校の少年達がビジネスを立ち上げ、日本に、世界に、影響を与えていくという近未来小説を読み、
とても感激し、上田学園に入るきっかけにもなったことがあります。
この「お金と正義」は、「希望の国のエクソダス」と同じ種類のゾクゾクするようなスリルと、
知的興奮を感じました。
例えば、フリーターのテロリスト五右衛門の挑発。
「カネに生かされる時代に、終止符を!」や、
「あんたロックすんの?それとも、まだ寝てんの?」
という言葉が報道されて、一夜にして五右衛門が英雄になるシーンなどは、
現実でも、同じような事件があれば、めちゃくちゃ話題になるだろうなと感じさせました。
村上龍も、カンブリア宮殿などで経済人に積極的に接触していますが、
現実を捉えて、近未来を舞台にした、こういった小説を書きたいのではないかと、
思います。
著者は、経済コンサルタントで、初めて書いた小説というのもあり、
小説としての完成度には満足ができない読者もいるかもしれませんが、
洗脳、広告、環境問題、テロ、資本主義のジレンマ、など、
キーワードをあげるだけでも、何か連想されていくような、
様々な著者からのメッセージが盛りだくさんです。
この本を読むと、自然と世界の裏側を感じることができる力が付く、
かもしれません。
「生を知るためには、死を知らなければならない」
「自由を知るためには、拘束を感じなければ、ならない」
「運命は、完璧に決まっていて、同時に、完璧に自由でもある」
人は、この狭間で走り続けなければならないが、
ビビるな。怖れるな。
パターンを知れば、パターンを抜け出すことが出来る。
最後は、時代を超えた“生きる哲学”のようなものまで、
披露され、ある意味、こんなに「お買い得」な本はないでしょう。
僕がきっと、中高生ぐらいのときに、この小説に出会っていれば、
ハンマーで脳味噌を叩かれたぐらいの衝撃を味わえたかも、
なんて思います。
まさに、世界を変えたいあなたのための必読書です。