何度か好きだと言ってるウェス・アンダーソン監督の作品を紹介したいと思います。
今ではすっかりはまってしまっていますが、初めて彼の作品を見たのは今年の3月でした。休みで何かDVDを見ようと思ったものの一つに、彼の作品「ライフ・アクアティック」がありました。正直、最初1時間は“なんだかやけにゆる〜い話だな”と思って、何度かDVD止めて寝ようかと思ったぐらいだったんですが、結局その世界にはまり込んで、全作品を見ることになりました。
作品のあらすじを説明するのが難しいのですが、大まかに言うと、ドキュメンタリーを撮ってる落ち目の海洋学者のスティーブが、珍種の“ジャガーザメ”に食われた相棒の復讐をするために旅に出る、という話です。危機を抱えながらも自分勝手に道を進むスティーブに、個性的なチームクルーや彼の妻や、息子かもしれないネッドや、記事のために乗り込んだ記者のジェーンとか、ちょっとおかしくてどこか世間とずれた個性的な面々が織り成す、へんてこな物語です。
微妙なユーモアの中に、父と子とかチームの擬似家族ぶりとか、意外とシリアスなテーマが絡み合い、彼にしか作れない奇妙な世界が出来上がります。その世界の中で、論理なんか関係ない、ゆる〜い感じで話が流れていきます。正直、好き嫌いはかなり分かれる作風です。
オリジナルのアディダスの靴を作ってみたり、チームクルーの一人にデヴィッド・ボウイの曲をポルトガル語の弾き語りでカバーさせていたり、架空の海洋生物を作ってみたり、映画の中で監督のオタク的な遊び心は随所に現れています。そういう一つ一つが合わさって、ちょっとファンタジックな世界に見えます。でも人間の感情がリアルに感じられるのは不思議です。
個人的には、見てて楽しい気分に浸れるので、とても好きです。たぶん今年3回くらいは見ちゃったはずですね。
この人の作品を見ると、つい“オリジナル”ということを考えてしまいます。監督はただ作りたいものを作ってるだけに思えますが、それが結果として誰にも真似できないものになっている、それって何なのかな?って思います。とりあえず、彼は細部に異常なまでにこだわるみたいです。キャストも信頼できる人を中心に置いてます。(主演のビル・マーレイとか、オーウェン・ウィルソンとか。)また、脚本を作る段階では、いろんな人達の身近に起こった話をヒントにしたりしているようです。そこら辺は、意外なリアルさが感じられる、ということの鍵になるのかな、と思います。
というわけで、面白そうだと思ったら見てみてもいいと思いますが、誰が見ても面白いという保証は残念ながらできません。そういう映画です。