16.11.27

 「ハウルの動く城」を成瀬と見てきました。

 始まってすぐ、ちょっとセンチメンタルな気持ちになりました。宮崎映画で、久しぶりにヨーロッパが舞台で、しかも久石譲の音楽がながれると、「あ〜、ラピュタだぁ・・・(or魔女の宅急便だぁ・・・)」みたいな。

 内容を言うと、「ファンタジックで楽しー」とか「でっかい城が動いてすごーい」とかがあるけど、ストーリー的には恋物語。あんなに短絡的に好きになっちゃって、うまくいちゃって・・・なんてつっこむのは、さえない男のひがみってもんで、いい話です。(っていうか、すいません。わたくし、ちょっとひがみました。でもいい話だと思ったってのはホント)

 ハウルってやつは、チョー才能のあるすごい魔術師だけど、自分を育てた先生や別のすごい魔術師と軋轢があって、イマイチって感じでくらしてた。で、女の子と偶然であって、お互い好きになってく。ゴチャゴチャ話はあるけど、取り巻く世界では戦争があったりして、「大切な人、守んなきゃ」って感じで、がんばる。
  おお!! 王道だな。
  ハウルは女の子守って、女の子はハウルを心理的に支えて、一種の理想形。

 いいんじゃないでしょうか。いうことありません。

 おわり。

 って終わらそうかと思ったんだけど、ちょっと僕は別のことも考えたのだ。別にそういうラブストーリーにいちゃもんつけるわけではなくて、自分にとって大切なのは、すくなくとも今は、こういうラブストーリーじゃないんじゃないかってこと。

 「ハウル」の中では一切出てこないけど、ハウルにはあのお城を一生懸命作った時期があったはずなのだ。だからこそ、あのお城はあって、それがあるからこそ、女の子はそこに入ってきたのだ。

 ハウルは別に女の子を入れようと思ってあんな城を作ったわけではないとおもう。(もしそうだったら、もっとキレイなものつくるでしょ? くそきったねぇんだよ、あの城は・・・) うまくいえないが、たぶんこれは重要なポイントだと思う。
 彼がお城を作った理由は、たぶん2つ。ひとつは、そういうのを作るのが好きだったから。そしてもうひとつは、自分が送りたくない人生から身を守りたかったから。彼は恩師のいいなりになりたくなかったし、別のすごい魔女から身をまもりたかった。
 そういう理由で、ある意味孤独にあの城を作ったはず。そのころ、ラブストーリーは関係なかったはず。それを経て、あの女の子を受け入れる場所ができたのだ。

 僕にはまだそんなお城はない。いや別に家を建てるとかいう話ではないよ。つまり僕は、自分を守るための好きなことをきちんと確立していない。そういう内は「ハウル」で描かれるようなラブストーリーはありえないと僕は思っている。あったとしても、あんなふうな理想的な形にはならないんじゃないかな? たぶん。

 以前、村上龍が何かのエッセイの中で、「大人になるというのは、女の子より夢中になれるものを見つけるということ」って意味のことを書いていた。一概にはそうは言えない気がするけど、一理あると思うんだ。少なくとも僕はその考え方は大事だと信じている。
 高校時代、ある友人に初めて彼女が出来て、僕に言った。「でもね、自分は彼女がいないと生きていけないような生き方はしたくないんだ」って。その時はピンとこなかったけど、今思うと彼は偉かったなー。だからこそ、なのかどうかはよく分からないが、その二人は今でも仲がいいんだ。

 僕はお城をつくれるかな・・・

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